食道がんとは
のどと胃のあいだにある長さ約25cmの臓器を「食道」、この食道の内側の粘膜で発生するがんを「食道がん」と言います。多くの食道がんが、食道の中央付近で発生します。
食道がんは、本来の粘膜に発生する扁平上皮がんと、円柱上皮に発生する腺がんに分けられます。日本人の食道がんのほとんどを、扁平上皮がんが占めます。バレット食道から発生するバレット食道がんは、腺がんに分類されます。
進行すると、食道の外側にある気管など周囲の臓器へと浸潤します。また血液・リンパ液などに乗って、リンパ節、肺、肝臓に転移することもあります。
食道がんの原因
食道がんの二大原因として、喫煙と飲酒が挙げられます。特に喫煙・飲酒の両方がある人、お酒を飲むとすぐに顔が赤くなる人は、食道がんのリスクが高くなります。
その他、熱すぎるものをよく食べる人も、粘膜への刺激が繰り返されることから、そうでない人よりも食道がんのリスクが高くなると言われています。
食道がんは女性よりも男性の方が多い
食道がんは、女性よりも男性の方が明らかに罹患しやすいがんです。人口10万人あたりの罹患者数は、男性で31.2人、女性で5.9人となっています(推計)。
ただし、傾向としては男性が横ばい~やや減少しているのに対し、女性は横ばい~やや上昇しています。
なお年代別では、60~70代での発症が目立ちます。
参考:https://www.esophagus.jp/public/cancer/02_epidemiology.html
食道がんの症状・初期症状はあるのか
- 食べ物の飲み込みづらさ
- 食べ物がのどに詰まる・つかえる感じ
- 熱いものがしみる
- のどの痛み、咳、血痰
- 声のかすれ
- 体重減少
- 胸の痛み、背中の痛み
胃がんと同様、初期症状に乏しいがんです。
胸の痛みや背中の痛みがある場合には、背骨への転移も疑われます。
食道がんの検査・治療方法
検査について
食道がんの検査としては、バリウム検査、胃カメラ検査があります。
バリウム検査は、大きな食道がんの状態を把握する場合には有用ですが、早期の食道がんの発見には不向きです。また胃カメラ検査のように組織を採取して確定診断をすることもできません。
当院では、専門医が鎮静剤を用いて苦痛の少ない胃カメラ検査を行いますので、どうぞ安心してご相談ください。
治療について
早期食道がん・食道表在がん
食道の粘膜内に留まる早期食道がん、粘膜内~粘膜下層に留まる食道表在がんの場合は、内視鏡的治療、手術、化学放射線療法が治療の選択肢となります。
リンパ節への転移が少ない場合には、内視鏡を使った低侵襲治療が可能です。リンパ節への転移が疑われる場合などには、手術または化学放射線療法(化学療法と放射線療法の併用)を行います。
進行食道がん
遠隔臓器への転移がなく、がんでの切除が見込める場合には手術を行います。場合によっては、手術前後に化学療法を併用します。手術が難しい場合には、化学放射線療法、または単独での放射線療法を行います。
遠隔転移があり、かつ手術の適応とならない場合には、化学療法を行います。
手術や化学放射線療法が必要と判断した場合には提携病院をご紹介します。
食道がんを予防するには
食道がんの予防においては、食道がんの二大原因である喫煙と飲酒をしないことが何より大切になります。実際に、喫煙・飲酒の習慣がまったくない人は、ほとんど食道がんになることはありません。
とはいえ、お好きな人にとってどちらも簡単にやめられるものではありません。お酒やたばこは嗜好品であり、ストレスの解消になっている側面もあります。
どうしてもやめられないという場合には、過度の喫煙・飲酒を控えながら、年に1度の胃カメラ検査で食道がん(や胃がん)の早期発見に努めましょう。